和太鼓の構造のところでも話をしましたが、太鼓の胴に皮を取り付ける方法として、胴に鋲を打って取り付ける方法と、紐などを使って締め上げる二通りの方法があります。
鋲を打って取り付ける太鼓の代表が「長胴太鼓」です。和太鼓といえば、この「長胴太鼓」を想像される方がほとんどではないかと思います。
この太鼓は、鼓面の直径よりも胴の長さが長いことから「長胴太鼓」と呼ばれています。大きさも、小さいものから大きなものまで様々で、また、その用途も広く、神社仏閣で使われたり、舞台演奏や各地域の祭礼、獅子舞や神楽、盆踊り、歌舞伎などでも使われ、「宮太鼓」、「櫓(やぐら)太鼓」、「祭り太鼓」などとも呼ばれています。
この「長胴太鼓」ほど、日本人の生活の中に深く浸透している太鼓はないのではないかと思います。日本人であれば、誰もが一度は見たことのある楽器であり、叩いたことのある人も多いのではないでしょうか。
全国にたくさん結成されている和太鼓グループの多くは、「長胴太鼓」をメインにして演奏を行っています。
「長胴太鼓」は、1本の大木をくり抜き、両面に皮(牛皮)を張り、鋲を打ち仕上げています。和太鼓の中でも最も力強い音がでる太鼓です。

胴の原料となる欅(けやき)の大木(※写真の中の人物と比べるとその大きさがわかります。)

太鼓の胴を造るために粗削りされた欅(けやき)
胴の材料は欅(けやき)が好まれるのですが、高価なため栃(とち)、楠(くすのき)、栓(せん)、花梨(かりん)・タモ・松・桜等を使用した太鼓もあります。また、欅を張り合わせて胴にした太鼓(集成材による欅胴)も販売されています。
欅(けやき)は木目が美しく、堅くて耐久性があり粘りがあるため、鋲がしっかりと木に食い込んで抜けず、バチで縁をたたいてもへこんだりヒビが入りにくいなどの特徴があります。また、欅胴の太鼓は音が力強く、響きもよいため最も高級な材質であるといわれています。

神社仏閣に置かれ、神事などに使われる「長胴太鼓」

祭礼の山車に取り付けられ、祭りを盛り上げる「長胴太鼓」

神楽のお囃子に使われる「長胴太鼓」

盆踊りで曲に合わせて「長胴太鼓」をたたく。
※私たちは、欅をくり抜いた胴の太鼓が欲しかったのですが、高価なため、欅を張り合わせて胴にした太鼓(ハイテク太鼓)を購入しました。購入してから30年近くたちましたが、今でも皮を張り替えることなく舞台演奏に使っています。
※「長胴太鼓」は、くり抜き胴かどうか胴の材料によって、同じ大きさでもずいぶん値段が違います。購入の際には、自分たちのグループの目指すところ、目的、予算などを十分に考えて購入することをおすすめします。

欅胴のハイテク(張り合わせ)太鼓

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